お と う と


「いーかげん、意地はらないで謝りゃいーじゃん」

俺は、真っ赤な尻を丸出しにして
リビングの壁際に立たされている弟に助言した。

「う…、ぅるせぇ!ひっく」

弟は涙でぐしゃぐしゃになった顔のまま、俺の忠告を突っぱねる。

理解不能。
素直に自分の非を認めて謝れば終わるのに。
本当に要領が悪い上に、頑固なヤツ。

「ゲームのしすぎで夜更かしして寝坊したんだろ?お前以外の誰が悪いの」

さっきまで奥の和室でさんざん親父に尻を引っぱたかれてた弟は、
ひっくひっくとしゃくり上げて泣き続ける。

「う、うるさいー、あっち行けよぉ!!」

いやいや。
俺がくつろいでたリビングにお前が来たんだろ。

あんまり強情なもんだから、
「しばらく反省してろ」って
親父に首根っこ掴まれてリビングに引きずられてきたのね。
んで、叩かれた赤い尻出して立たされてる。

恥ずかしいやつ。

「早く親父に謝れよ。じゃないと外で尻叩かれるぞ」

ちなみに弟は『それ』経験済み。
もっと小さい頃だったけどね。
俺はそんなの死んでも嫌だから、そうなる前にとっとと許しを請う。

「うっ、うっ…」
「恥ずかしいぞー?隣りのオバはんに見られてみ?近所中に言いふらされるぞ?」

「いやだあー!」

うわあん、と弟は声を上げて泣き喚く。

あ。
やばい。
泣かせちゃった。

「なに煽ってるんだ!」

ゴンっ!
いつの間にか親父がすっ飛んできて、頭にゲンコツ。
一撃。
俺は頭を押さえて床にしゃがむ。

いっっってーぇ!!

「お前も和室に行くか?」

「いやです、ごめんなさい。兄として助言してたつもりなんだって!」

いやいや本当に。
馬鹿な弟のために。

「ったく!…お前は?反省したのか!?」

親父は弟の方を向く。
弟は相変わらずひっくひっく泣いていた。

「まだ終わってないからな!来なさい!!」

弟は親父に腕を引かれて、奥の和室に連れて行かれた。
下着とスエットが足にからまって歩き辛そうだ。
弟の赤い尻が奥の部屋へと消えていく。

「あーあ」

パシン、パシン!
ほどなくして、和室の方からは、尻を打つ音が漏れ聞こえてくる。

素直に謝れよな〜。

強情な弟の行く末を、俺は兄として案じる。






衝動のおもむくままに。

いじわるお兄ちゃんと
いじっぱりな弟くんでした。

パソコンに眠っていたので、上げてみます!

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